1945年。敗戦後、博多の街に戻ってきた長門栄治郎は、新聞に載っていた欧文タイプライター
募集の広告を見て応募することに。
英語の試験を受け、無事に採用されるがその職場はGHQが設置した民間検閲局だった。
そこでは、本、新聞、ラジオ、そして個人の手紙までが検閲にかけられ、GHQにとって不都合な
内容があった場合、発行停止や処分を行う事が仕事だった。
以前は敵だと思い込んでいた米軍の下で、手紙を検閲するという仕事に罪悪感を感じながらも、
生活の為に仕事を続ける栄治郎。
自らの境遇に自問自答を繰り返す栄治郎は、やがて検閲によって削除された言葉や手紙達に
追いつめられるような夢を見るようになる。
世間の価値観が大きく変わっていく中、検閲によって奪われた手紙を、せめてその思いだけでも
届けたいと考えるようになる栄治郎。
そんな中、夢の中にかつての搭乗機であった零戦が、人格を持って現れる。
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