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演出・脚本 大塚ムネトより挨拶にかえて

戦後70年の節目に、地元福岡の戦後を描いた「奪われた手紙」。
お客様には1年ぶりの再演となりますが、作り手のボクらは、前回の上演以来ずっと追加取材を続けていました。
最大の謎は、「検閲局ができた時期に、なぜ長崎の原爆報道が新聞に出たのか」ということ。
お客様の中には「検閲局が準備段階で間に合わなかっただけでは」という声もありましたが、
ボクはほかにも理由があるのではと思っています。

ここで、「新聞で報道された長崎の悲劇」までの流れをざっと紹介します。9月10日には、 東京の民間検閲局(CCD)に新聞映画放送部が作られますが、当初は日本の報道は戦っていたようです。 それは「ポツダム宣言での無条件降伏は、軍のことで民間は自由を得た」との解釈があったからです。

例としては、無条件降伏の調印式の前に、日本で起きた米兵の犯罪が報道されたというのがあり、
終戦直後の一瞬、確かに自由な報道ができた時期があったようです。

しかし、ついにCCDが行動を起こします。9月14日に海外に向けた短波放送を中止。
さらに9月15日と17日の朝日新聞発行停止処分。
この「発行停止処分」の衝撃は、全国の新聞社にも影響を与えたのではないでしょうか?

そんな微妙な時期である9月20日に、長崎の悲劇を伝える新聞が発行されました。

やはり、誰かの意志と決意があったからこそ、記事が出たのではないのか?

実は、この新聞については、もう一つわからないことがありました。それは「原爆の恐怖を伝えた長崎版」と 「占領軍側の記事が増えている、原爆はたいしたことないと書かれた福岡版」の2つの紙面が存在することです。

2つの版が存在する理由については、新聞社に取材をして「早刷りの地方版(長崎・佐賀など)と、 地元福岡の最終版だろう」との答えをもらいました。

しかし、なぜ早刷りでは長崎の悲劇を伝え、最終版ではGHQの意向にそった記事になっているのかは、 新聞社でもわからないとのことでした。

この文章を書いている今も取材を続けています。そして、追加でわかったこと、間違っていたことは書き直しています。 ですから、今回の上演は「取材を反映した修正版」となります。

前回も書きましたがボクらにできるのは、忘れずに伝えること。より当時の真実に迫る作品にすべく、 上演の準備を進めています。



ギンギラ太陽's  大塚ムネト



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